マロニエゲート銀座1の10階に店舗を構えるフランス料理の名店「ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座」。同店では、ピートをメニューに取り入れており、デザートのアイスやパンに塗るバターに、ピートを活用しています。
なぜピートを使ったのか? そのお味、お客さんの反応は?? 料理長を務める星野晃彦さんにお話を伺いました。
オーガニックで、美容・健康志向。将来性のある素材
―なぜ、ピートを料理に取り入れてみようと思ったのでしょうか?
星野さん 私がピートと出会ったのは、テラウスジャパンの櫻井社長による紹介でした。櫻井さんの熱いプレゼンに心を動かされ、使ってみることにしたんです。まだ日本ではあまり用いられてない素材ですが、オーガニックであることや、美容・健康志向に特化した素材なのでお客さまにも喜ばれそうなことから、導入に際して抵抗感はありませんでした。また、ピートの粉(AHE エキストラクト・ピート・パウダー)は無味無臭ですが、それが含んでいるミネラルが料理にいい影響を与えてくれるのでは、といった期待もありました。現在メニューに取り入れながら試行錯誤している段階ですが、ピートを活用した料理には、将来性があると思っています。
ピートが塩の旨味を引き出してくれる
―実際に使ってみてどうでしょうか?
星野さん まず、見た目という点でいえば、色が黒いのがポイントですね。まさに「漆黒」という言葉が似合うインパクトが強い黒色なので、通常の料理とは全く違った見え方をお客さまに与えることになります。お客さまを驚かせられるアトラクション性はありますが、それをどう料理に取り入れていくかが難しかったですね。
味の面で言うと、ピートそのものが無味無臭であることから、大きな変化はありません。ただ、ピートが料理の旨味を引き出してくれていると感じています。具体的には、塩の味をより料理と結びつけて、なめらかにしてくれている印象ですね。
塩の味は、料理に大きく影響します。それどころか、人間が感じる料理の旨味のなかで、最も強いものは、塩に起因しているんです。たとえば、赤ワインソースを作っても、塩を適切に使わなければ旨味を引き出すことはできません。そんな塩に対してのアプローチができるピートは、料理人目線にとっては非常に魅力的な素材といえます。
「ピートアイス」が好評。新たなメニューの構想も
―お客さまの反応はいかがでしょうか?
星野さん 好評ですね。特にピートを使った「ピートアイス」は非常に喜んでもらえています。ピートアイスにはウイスキーで味付けをしているのですが、ピートはウイスキー作りに欠かせないものですし、ウイスキー愛好家にはもとから知名度があるのもあって、興味を持ってもらえるトリガーになっています。また、古代から活用されていた素材ですし「世界三大美人の、あのクレオパトラも愛用していた」などと伝えると、インパクトがあるようで好評です。
美容・健康に興味を持たれているお客さまからも注文もあり、腸活などのインナービューティに活かせることに惹かれている方が多くいらっしゃいます。ケミカルではない、自然由来の食材なので、そういった方々にも安心して召し上がっていただいています。
―今後、ピートを使った新たなメニューの可能性はあるのでしょうか?
星野さん はい、いままさに考えているところです。たとえば「ピートソース」ですね。肉や魚をマリネする際に使用する、塩麹的な意味合いのソースです。塩麹は発酵製品ですが、ピートも地中で発酵・熟成した素材なので、相性がいいと考えています。
また、私が得意にしているバター系の料理にも使っていきたいですね。ピートを乳化させたバターに混ぜるとか。ピートの粉は水に溶けにくいですが、乳化させたバターになら、うまく混ぜられるんじゃじゃないかなと思っています。
食材としてのピートの可能性をもっと広げていきたい
―ピートを、どんな方におすすめしたいですか?
星野さん まず、料理人目線でいうと、全ての料理人さんにおすすめできます。味にはいい影響を及ぼしますし、カビないので保管も楽です。色々な分野の方にピートを使っていただき、その可能性を料理界全体で広げていけることを期待していますし、もちろん私も努力します。
一般目線でいえば、やはり、美容・健康に興味を持たれている方におすすめしたいです。ピートを使った料理は、美味しいだけでなく体にやさしいので、気持ちよく召し上がっていただけると思います。食欲を満たしながら、ついつい食べ過ぎたことの罪悪感を消してくれるような、ギルトフリーな素材でもあります。ご興味ある方は、是非一度お店にいらしてください。お待ちしています。
【店舗情報】
「ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座」
〒 104-0061
東京都中央区銀座2-2-14 マロニエゲート銀座1 10階
TEL 03-5159-0321